3.訪問取材を終えて
・ 貞清先生は水素エネルギーについての基礎的な知識について、化学をまだ履修していない生徒に対して丁寧に理解しやすいよう、熱心に講義をしていただきました。生徒は先生の穏やかで、和やかな雰囲気に助けられながら自然体で取材をすすめることが出来ているようでした。2年生は現在学校で学んでいる化学の知識を生かし、先生に積極的に質問ができていました。1年生も自分のものにしようと必死に先生の話を聞いていました。取材の途中でI2CNERのペトロス・ソフロニス所長とお話する機会があり、生徒が所長の英語の質問に対して通訳を介さずに返し、日頃の英語の学習が生かされる場面があり、所長、取材班、引率教員を驚かせるという場面もありました。所長からは「これからの未来を担う君たちにぜひ優れた研究者になってもらい、近い未来に一緒に研究をしよう」という声を掛けていただきました。取材班の方も高校生とこのような形で話をする場面は初めてだとおっしゃっており、生徒は非常に貴重な経験をすることができました。また、生徒が研究室や実験設備を見学することができ、大学生活やその先の研究生活の具体的なイメージをしやすくなったようでした。このような貴重な機会をいただきましたことに誠に感謝しております。この経験を生徒や我々教員が学校現場に持ち帰り、周りの生徒に波及させていき、今の高校生活の先にある未来をイメージさせながら学習できるよう働きかけていきたいと考えております。【引率教員】
○ 生徒の質問
「実験をして成功したときの気持ちはどのようなものですか。」
――――――― 時間をかけてやってきた分喜びは非常に大きいです。ただし、見たらすぐに結果が分かるような実験が多いので、一瞬で終わってしまいます。打率の低い打者がヒットを打ったときのような嬉しさですね。実験(研究)は常に新しいものに挑戦していくものであり、他の人が行った実験を行っても進まない。そこで、事前に他の人の実験(研究)を十分に読みといておく必要があります。化学分野は相手を待つ必要が無く(生物であれば成長を待ってからだが)うまくいかなければ次々に新しいことにチャレンジできるところにやりがいがあります。毎日が同じことの繰り返しでなく、新鮮な毎日が味わえることも非常にやりがいがあります。
「論文はどのようにまとめるのですか。」
――――――― 実験結果がまとまってきたところで、外部へ発表する準備を進めていく。まずは実験結果や内容に矛盾がないかを十分に確認します。その後、外部の方が論文を読んでも十分説明が出来るように細かくチェックしていきます。論文はWEB上にアップされて、世界中の人が読むことになります。
「海外との共同研究はあるのですか。」
――――――― アメリカとの共同研究では、実際に現地で研究生活を送ることもあります。日本の大学では授業が英語で行われていることは少ないのですが、海外では英語での授業が当たり前となっており、どんどん海外に行って英語の力を磨いていけばいいと思います。実際には大学では英語で発表することもありますし、必要に迫られると自ずと英語の力はついていきます。
● 生徒の感想
・ 何度か伊都キャンパスを訪れていますが、今回ニュートラルカーボンエネルギーについての分かりやすい講義、研究室の見学、論文ノートを拝見させていただくなど充実した経験となりました。
・ 一番印象に残っているのは、研究室を見学させていただいたことです。実験装置を自作するということをお聞きして、高校でやることと違うということを実感することができました。エネルギーについての話も難しかったですが、今後の化学の学習に生かして生きたいと思います。
・ 今回大学を訪問し、日常では見ることのできないものを見せていただき、とても興奮しました。研究室見学のときには何度も「すごい…」と言ってしまいました。先生のお話は難しいところもありましたが、「このような世界もあるのだ」と自分の中の世界が広がりました。設備も最新であり高性能で「このような環境で学ぶことができたら最高だ」と思いました。
・ 自分が想像していた以上にハイテクでどれも興味をひくものばかりでした。始めのほうは緊張してしまいましたが、非常に話しやすい雰囲気で楽しく有意義な時間を過ごすことが出来ました。このような体験をさせていただいたことに心から感謝しています。ありがとうございました。